たった1週間で血圧を下げる「リセット減塩」
第2回 短期間の徹底減塩を繰り返す、反復1週間減塩法とは
田中美香=医療ジャーナリスト
中高年の多くが気にする「高血圧」。突然死を避けるためにも、何とか血圧を下げたいと誰もが思うが、生活習慣の改善はなかなか続かない。特に、血圧対策の代表ともいえる「減塩」は、塩味が効いた食事に慣れた人には“苦行”でしかないだろう。今回は、そんな我慢のきかない人にも続けやすい減塩法をご紹介しよう。指南するのは、ミスター血圧こと、前東京女子医科大学東医療センター内科教授・愛知医科大学客員教授の渡辺尚彦さん。30万人以上の患者に減塩指導を行ってきた経験が裏づける、塩分摂取を段階的に減らすコツとは――。
第1回 では、血圧を毎日記録する「血圧レコーディング」の効果を解説した。しかし、血圧レコーディングを続けて、「今日は少し高めだからマズい」と思っても、具体的に何から始めるべきか迷ってしまうもの。そこで今回は、ミスター血圧、前東京女子医科大学東医療センター内科教授・愛知医科大学客員教授の渡辺尚彦さんに、第一に取り組むべき対策を聞いていこう。
渡辺さんは、「まず実践してほしいのは減塩です」と言い切る。渡辺さんはこれまで30万人以上の患者に減塩指導を行ってきた経歴を持つ医師。自らも20年以上の減塩生活を送り、その効果を経験してきた。そんな渡辺さんが勧める方法とは一体どんなものなのだろうか。
一般に、血圧を下げるために「生活習慣」の改善が大事なことはよく知られている。日経Goodayでもこれまで紹介してきたように、「減塩」「運動」「減量」(それに「節酒」)などが代表的な対策となる(詳しくはこちらの記事を参照)。実際、渡辺さんもこの3つを患者に指導しているが、中でも一番に減塩を勧める理由は、効果が高く、効果が出るのも早いからだという。

「確かに、運動をすれば血圧は下がります。ですから運動もぜひ実行してほしいのですが、運動をしても、翌日すぐに効果が見えるわけではありません。効果が表れるまで少々時間がかかるのは、減量も同様です。一方、減塩の場合は、1週間もあれば血圧は下がってきます。効果が早く見えるから、『もっとやってみよう!』とやる気も出やすいのです」(渡辺さん)
減塩と聞けば、「味気ない食事なんて続かない」と抵抗感を抱く人も多いだろう。だが、渡辺さんが提唱する減塩法は、お休みタイムもあって続けやすいのが特徴だ。それはいったいどんな方法なのだろうか。そして、その方法でどれほどの効果が出るのか、実例を交えながら紹介していこう。