男性ホルモンは「若返りホルモン」だった!
第1回 健康寿命を延ばす“新常識”とは?
伊藤和弘=フリーランスライター
いつまでもハツラツと健康で過ごすためには何が必要だろうか。食事や運動などの生活習慣に気を配ることが、病気を防ぎ、若々しさをキープする秘訣だ。だが、間違った生活習慣を身につけてしまうと、逆に老化が進み、病気のリスクが高まる。鍵になるのは「ホルモン」だ。アンチエイジング医療の専門家である満尾クリニック院長の満尾正さんに解説していただこう。
「年齢だから仕方ない」と諦めて何もしないと…

誰しも、なるべく健康で長生きしたいと思うもの。いつまでも若々しく、ハツラツとした生活を送るためには、いったい何が鍵を握るだろうか?
日本におけるアンチエイジング医療の先駆者で、2002年に日本初のアンチエイジング・クリニックを開設した満尾クリニック(東京都渋谷区)院長の満尾正さんは、「ホルモン」に着目する。
ホルモンとは「体内を循環する情報伝達物質」のことで、人の体では100種類を超えるホルモンが確認されている。
例えば「男性ホルモン」と「女性ホルモン」は、それぞれ男らしさ、女らしさを作るもので、加齢とともに減少していく。実は、このように加齢によりホルモンの分泌量が変化することが、老化の主な原因の一つになっているのだ。
男性ホルモンや女性ホルモンの分泌量が早く低下すれば、それだけ実際の年齢よりも老けて見えたり、病気になるリスクが高くなってしまう。だが、多くの人は「年齢だから仕方がない」「仕事が忙しいし、疲れているから」と、何も対策をとらないのが実情だろう。
「それが問題なのです」と満尾さんは警鐘を鳴らす。
「男性ホルモンや女性ホルモンを、“若返りホルモン”の仲間だと捉えることが大切です」と満尾さんは言う。若返りホルモンとは聞き慣れない言葉のように思うかもしれないが、体を若々しく保つ働きがあるもので、これらが減少すると、太りやすくなったり、疲れやすくなったり、不調が表れやすくなったりする。
「若返りホルモンには、男性ホルモン(テストステロン)、女性ホルモン(エストロゲン)以外にも、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)、成長ホルモン、メラトニンなどがあります。これらはみな、30代を過ぎると、加齢とともに減少してしまう。それが老化を進める原因となります」(満尾さん)
![]() | 男性ホルモンをはじめとする「若返りホルモン」は、加齢とともに分泌量が減少する。そのまま何も対策をとらないでいると、体の不調や老化の原因となってしまう。 |