あなたの膝の痛みはどのタイプ? 多い原因は「腰」だった!
第1回 膝の痛みを自力で治す「痛みナビ体操」とは
塚越小枝子=フリーライター
膝(ひざ)が痛くて運動や外出がおっくうになっている人、膝の痛みをだましだまし走っているランナー、長年痛みと付き合い「もう手術するしかない」と言われている人——。年齢を重ねるとともに、膝の痛みに悩む人は増えてくる。
しかし、膝の痛みは、自力で解決できることも多いことをご存じだろうか?本特集では、お茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニック院長の銅冶英雄さんが提唱する「痛みナビ体操」を紹介する。コツコツ続けることで膝の痛みが改善し、手術を回避できる人もいるというこの体操。あなたも自分の力で痛みを改善して、一生使える膝を手に入れよう。
私たちの膝(ひざ)は、体重を支え、立つ、座る、歩くといった日常の様々な動作を可能にすると同時に、地面から足へと伝わる衝撃を吸収するという重要な役割を果たしている。一生自分の脚でスタスタと歩くためには、これまでに日経Goodayで特集してきた腰や股関節、下半身の筋肉だけでなく、膝の健康の維持も不可欠な要素だ。
膝に痛みがあると、激しい運動はもちろん、歩く、しゃがむ、階段を上り下りする、といった日常生活動作までもが支障をきたすようになる。その結果、体を動かすことがおっくうになり、活動量が落ち、足腰を支える筋肉の減少、果ては寝たきりへとつながっていく恐れがある。

「膝は消耗品なので、痛みが出たら自力で治すことはできない」とあきらめている人はいないだろうか? しかし、「膝の痛みは、自力で軽減することができます」と、お茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニック院長の銅冶英雄さんは言い切る。
それはどういうことなのか、まずは膝の構造からおさらいしてみよう。
すり減った軟骨は元に戻せなくても、痛みを改善することはできる
膝の関節は、「大腿骨(太ももの骨)」、「脛骨(けいこつ:すねの骨)」、「膝蓋骨(しつがいこつ:膝のお皿)」「腓骨(ひこつ:すねの外側の骨)」という4つの骨と、靭帯、軟骨、半月板でできている(図)。半月板は衝撃を吸収するクッションの役目を果たしており、関節自体を動かすのは、太ももにある大腿四頭筋などの筋肉だ。
骨同士が接する面は軟骨で覆われている。軟骨は80%が水分、残りの20%はコラーゲンやヒアルロン酸などの成分で構成された弾力のある組織で、これがあるおかげで関節を滑らかに動かすことができる。この軟骨がすり減ることによって生じるのが、膝痛の大半を占める「変形性膝関節症」だ。
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