効果なし? ケガにもつながる“間違いだらけ”の筋トレ
第1回 40代以降は筋トレによる関節トラブルにも注意!
松尾直俊=フィットネスライター
たるんだお腹を引っ込めるため、筋力低下を防ぐため、いつまでも自分の足で歩くため、「筋トレ」に取り組む人は多い。だが、いくらがんばっても成果が感じられない、という声もよく聞く。また、久しぶりに筋トレをやったらケガをしてしまった、という人もいる。なぜこのような問題が起きるのだろうか? 日本体育大学准教授の岡田隆さんに、陥りがちな“間違った筋トレ”について解説してもらおう。
なぜ、筋トレしても成果が出ないのか?

夏も近づき、薄着になってくると、気になり始めるのが自分の「体形」だ。そこで、「筋トレをして体を引き締めよう!」と、せっせと汗を流す人が多くなるのもこの季節。しかし、毎日のようにトレーニングをしても、なかなか成果が目に見えてこないという声もよく聞く。
また、最近は“見た目”のためだけでなく、「健康寿命を延ばす」ために筋トレに取り組む人も増えてきた。筋肉量は、20~30代でピークを迎え、それ以降は年々下がり続ける。そのまま何もしないでいると、歩行など日常生活に支障をきたす「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」になりかねない。
適切なトレーニングを行えば、何歳になっても筋肉量を増やすことができるが、「できれば、メタボ(メタボリックシンドローム)が本格的に気になり始める40代ごろから始めて、筋トレを習慣化できると、いずれ訪れるロコモへの予防効果が高まります」と、日本体育大学准教授の岡田隆さんは言う。しかし、毎日一生懸命やっても一向に筋力がつかない、体形が変わらないのであれば、筋トレを続けるモチベーションも下がってしまう。
さらに、「若いころはジムで体を鍛えていた」という人が、中高年になって久しぶりに筋トレを始めたときに、ケガをしてしまうことが意外と多い。昔と同じようにやっているつもりでも、体そのものが以前とは変わっているので、無理が生じているのだ。
成果が出ない、続けられない、ケガにつながってしまう…。こうした筋トレにまつわる問題の原因は何なのだろうか。“骨格筋評論家・バズーカ岡田”という異名も持ち、柔道全日本男子チーム体力強化部門長でもある岡田さんに、筋トレでよくある「間違い」について解説してもらうとともに、確実に成果が出る方法を教えてもらおう。
「トレーニングをすれば、必ずどこかの筋肉を使うので、『間違った筋トレ』というものはないはずです。ただ、思うように筋肉に刺激を与えられていないのであれば、なかなか目に見えた成果は出ないでしょう。また、余計な力が違う部位にかかってしまうと、思わぬケガをする可能性もあります」と岡田さんは言う。
陥りがちな“間違った筋トレ”として、岡田さんは以下の4つを挙げている。
陥りがちな“間違った筋トレ”
1
自分の体に合った「フォーム」で行っていない
2
重さや回数にとらわれすぎている
3
負荷が足りていないのに、回数をこなして安心している
4
可動域が狭いまま筋トレをしている
それぞれの点について、詳しく解説してもらおう。