自分の脚で歩ける“健脚寿命”を延ばす食生活の4つのポイント
第3回 人工股関節の品質も向上! 大切に使えば一生使える時代に
柳本 操=ライター
一生元気に歩ける体を維持したいなら、きちんといたわるべきは“全身の動きの要”である「股関節」。本特集では股関節の健康の保ち方や、一生歩ける体を維持するための生活習慣を、股関節のエキスパートである石部基実医師に聞いていく。
第3回は、石部さんが勧める“健脚寿命”を延ばすための食生活と、人工股関節手術について。石部さんは「健脚寿命を延ばすには『食事・休養・運動』の見直しが必要。特に、食生活をおろそかにしてはいけません」と話す。

年齢を重ねても元気に歩ける体を維持したいなら、いたわるべきは“全身の動きの要”である「股関節」。股関節が消耗すると、少しの距離でも歩行が困難になり、老化を進めることになりかねない。
本特集では、股関節のエキスパートである石部基実クリニック院長、石部基実さんに、“股関節”の健康の保ち方を聞いてきた。前回は、股関節の衝撃を和らげる「グッド歩行」や股関節を支える力を維持するための筋トレ、股関節のしなやかさを保つストレッチなどを紹介した。最終回となる今回は、石部さんが勧める“健脚寿命”を延ばすための食生活と、人工股関節手術について聞いていこう。
バランスのよい食生活は健脚寿命を延ばすために不可欠
石部さんは、自らの脚でスタスタと歩くことができる期間を「健脚寿命」と呼び、その期間を長くするための健康法を提唱している。「股関節の健康を保ちながら、健脚寿命を延ばすためには、『食事』『休養(睡眠)』『運動』という日常生活を支える3つの要素を見直す必要があります」(石部さん)
前回紹介した運動面の対策はもちろん重要だが、それだけでは十分とはいえない。特に、「食生活をおろそかにしてはいけません」と石部さんは話す。
股関節の不調に悩み始めるシニア世代以降は、食生活が乱れ始める節目の年代でもある、と石部さんは指摘する。
「例えば、子どもが就学・就職などで家を出て夫婦2人になったのをきっかけに、食事を簡単に済ませるようになる、ということは珍しくありません。このように食生活を軽視すると、筋肉の材料となるたんぱく質が不足しがちになります」(石部さん)
働き盛りの世代でも、管理職になるなどして仕事が多忙になったため、昼はパソコンに向き合いながらサンドイッチやおにぎりで簡素に済ませる、という人もいるだろう。よくありがちな、「おにぎりと野菜ジュース」の組み合わせだけでは十分なたんぱく質は確保できない。
また、「夜、帰宅が遅く、夕食をとったらすぐに寝るという習慣では、体重増加は避けられません」(石部さん)。第1回でも触れたが、肥満は股関節への負担を増やす重大なリスクだ。「股関節をいたわるためには、肥満体形の人はこれ以上体重を増やさないよう、減量に取り組んでいただくことが大切です」(石部さん)