頻尿、尿漏れ、尿が出にくい…増える尿トラブルの正体は?
第1回 女性は尿漏れ、男性は出にくさや頻尿に悩んでいる
伊藤和弘=フリーランスライター
トイレの回数が多い、尿が我慢できずもれてしまう、なんとなく出が悪い…。40代以降に増えてくる尿トラブルは、日常生活にさまざまな不便を生じさせ、メンタルにも影響する。本特集では、泌尿器科を専門とする永弘クリニック(埼玉県新座市)院長の楠山弘之氏への取材を基に、40代以降の男女が悩む「頻尿」「尿漏れ(尿失禁)」の原因と特徴、自力で治す「骨盤底筋のトレーニング(尿失禁体操)」など、セルフケアのコツを紹介する。
トイレに行く回数がやけに多い、大笑いすると少し漏らしてしまう、深夜に必ずトイレに起きる、尿の出が悪くて残尿感がある、腹に力を入れないと出ない……。
年齢を重ねると、こういった尿のトラブルに悩まされる人が増えてくる。医学的には起床から就寝までに8回以上トイレに行くことを頻尿、自分の意志に関係なく尿が漏れることを尿失禁と呼ぶ。
トイレが近いこと自体は、命にかかわる問題ではないが、実際に頻尿や尿失禁の症状が出てしまう人の悩みは深い。「乗り物に長く乗ることが不安だったり、夜中に頻繁にトイレに起きることで同室者に気兼ねする、といった理由で旅行に行けないという人も多い。恥ずかしいという気持ちが強く、医療機関を受診できずに1人で悩みを抱え込んでいる人も少なくありません」。泌尿器科を専門とする永弘クリニック(埼玉県新座市)院長の楠山弘之氏は、そう話す。

しかし、“オシッコの悩み”は決して珍しいものではない。日本排尿機能学会が、40歳以上の男女約1万人を対象に行った疫学調査(解析対象数4570人)では、2人に1人が頻尿、7割が夜間頻尿(夜間に1回以上トイレに行く)の症状があると答えた(*1)。女性の場合、尿の悩みは頻尿や尿漏れが多い。その主な原因は、膀胱が過剰に収縮してしまう過活動膀胱や、出産などを機に起こる骨盤底筋の衰えだ。
一方、男性の場合は「尿トラブルが出てくるのは60代以上が中心」と楠山氏。漏らしてしまうことは少ないが、頻尿になったり、出にくくなったりする。その大きな原因は、加齢と共に起こってくる前立腺の肥大だ。
男女それぞれの尿トラブルの特徴について、さらに詳しく見ていこう。まずは男性から。
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