体への意識がガラリと変わる! 健康寿命を延ばす「きくち体操」
第1回 高血圧、高血糖を克服した人も。ゴルフの飛距離にも効果アリ!?
新村直子=医療健康ジャーナリスト
健康診断で毎年、「適度な運動をしましょう」と指導されるものの、多忙を理由についつい後回しになってしまう。そんな働き盛りのビジネスパーソンにこそ試してもらいたいのが「きくち体操」だ。足首を回したり、手足をグーパーするといった、誰でもいつでもできる動きが中心なので、膝や腰に痛みがある人や運動不足になっている人でも問題なく取り組める。続けることで、腰痛や五十肩、高血圧、不眠などの中高年に多い悩みが改善する人もいるという。この体操の創始者で84歳の今なお現役で指導する菊池和子さんに手ほどきしてもらおう。
独自コンセプトの体操が不調に悩む人にも人気!
かつて体育教師をしていた菊池さんが「きくち体操」を創始したのは50年以上も前のこと。教師を辞めた後、主婦に体操を教えていた菊池さんが、予防医学協会から「病気の予防と回復のための体操を教えてもらいたい」という依頼を受けたのがきっかけだった。
何千人もの体に触れ、悩みを聞きながら指導をするうちに、菊池さんは、「ただむやみに体を動かすのではなく、自分の体の状態を感じ取れる力」が重要であることに気づく。「ゆっくりと丁寧に、“脳を使って”、動かす部分に意識を向けることで、自分で体をよくしていく」という独自のコンセプトはこうして生まれた。
手足の指をグーとパーのように閉じたり開いたりして刺激したり、足首や膝裏、股関節など、普段あまり意識して動かさない部分を回したり、伸ばしたり。「スポーツのように人と比べたり、頑張ったりしなくていい」(菊池さん)。道具は不要。体一つで誰でもできる体操だ。
こうした敷居の低さも受け、心身の不調に悩む50代以上の女性を中心に口コミで人気が広まり、現在は全国に83クラス、受講生は3000人以上にも上る。男性専用のクラスもあり、「奥さんに勧められてきくち体操を始める男性も多いのです。忙しい方こそ少しでも体に意識を向けてもらいたいですね」と菊池さんは言う。
運動といえば付き合いでやるゴルフがせいぜいという多忙なビジネスパーソンの中には、「時間があるなら、ウォーキングをしたりジムに行ったほうがいいのでは」と思う人もいるかもしれない。実際、初めて教室に来る男性の中には、「女性がやる体操なんて…」とどこか下に見ながら、やって来る人もいたという。
ところが、そんな人でも、実際きくち体操をやってみると、自分の体が思っていた以上に、思う通りに動かず、戸惑う人も多いそうだ。
その代表例が、きくち体操の基本的な座法、「長座(ちょうざ)」だ。まずは試しに、以下のイラストの通りに座ってみてほしい。