筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回のテーマは「筋肉と体重の関係」について。基本的に、筋肉がつくと体重は重くなります。では、体重を維持しながら筋肉をつけることは可能なのでしょうか。

筋肉がつくと体重が増えることは、一般によく知られています。しかし、体重が気になるという人も多いでしょう。体重を維持しながら筋肉をつけることはできないのでしょうか。
結論から言うと、ムリです。筋肉はやはり重いですから。
ボディビルダーを例に挙げると、左右の腕まわりが1cmずつ太くなると、体重は2.5kg重くなるという試算もあります。基本的には、筋肉をつければ体重は重くなるのです。トップアスリートでも、見た目以上に体重が重くてビックリすることがあります。
たとえば、巨人の高橋由伸選手は身長180cmで体重は87~88kg 。メジャーリーガーの松井秀喜選手は188cmで104kg もありました。あれだけ下半身にしっかり筋肉がついていれば、当然かもしれませんね。このように、アスリートを目指している人であれば、しっかり素早く動けて、見た目より体重が重いというのは決して悪いことではありません。
そうは言っても、体重制限のあるスポーツを目指す人や、数字を気にする女性にとって、体重の増加はやはり大問題かもしれません。となると、やっぱり脂肪を落とすしかありません。筋肉量が増えた分だけ脂肪が減っていけば、体重の増加は抑えられます。ただ、これはこれでなかなか大変。脂肪の方が筋肉より比重が軽いので、同じ重さを減らしたいなら、体積としてはもっとたくさん落とさないと、どうしても体重は増えてしまいます。