筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回は腹筋を鍛えるトレーニングについて詳しく見ていきましょう。一口に腹筋トレーニングといっても方法はいくつもあります。効果に違いはあるのでしょうか。
一口に「腹筋」トレーニングといっても、頭を上げる腹筋、足を上げる腹筋、マシンを使った腹筋など様々あります。効果は違うのでしょうか?
答えはずばり「違います」。
まず頭を上げる腹筋は「上体起こし」「トランクカール」と呼ばれていますが、これはフォームによって腹筋の使い方が違ってきます。最近のスタンダードは、背中を丸めるようにして、あまり上体を起こさず、おなかにグッと力を入れて、ヘソのあたりを意識するというタイプ。これは比較的純粋に腹直筋を使います。

完全に起き上がってしまう「シットアップ」になると、足の力を使って股関節を曲げるという要素が加わるので、腹直筋だけでなく太ももの真ん中の筋肉(大腿直筋)をよく使います。このタイプは、重い頭を持ち上げることになるので腰椎に負担がかかり、腰を痛めてしまう危険性があります。
足を上げる「レッグレイズ」系の腹筋は、そういった欠点を補ってくれます。下半身の方が先端は軽いので、腰にかかる負担がずっと軽くなるのです。とくに大腰筋のような深部腹筋を鍛えようと思ったら、頭ではなく足を上げるような腹筋を選んだ方がいいでしょう。