筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回のテーマは「筋力の保ち方」について。一度つけた筋力を維持するには、どのくらいのトレーニングが必要なのでしょうか。
筋力が低下していくペースというのは、だいたい決まっています。

たとえば、それまでトレーニング経験のない人が、3カ月間の筋力トレーニングを積むと、15~20%ほど筋力がアップします。では、どの程度のペースで落ちていくのでしょうか。それは伸びたスピードとほぼ同じ。3カ月でつけた筋肉は、そこで運動をやめると、3カ月経ったら元に戻ってしまうのです。
ただし、このペースはトレーニングのキャリアによっても変わってきます。10年間やってきた人がトレーニングをやめたとして、3カ月で元に戻るということはありません。積み重ねたキャリアが長ければ、その分、落ちる速度は遅くなります。もちろん、10年間トレーニングをすれば、その先10年は安泰ということもありません。トレーニングを完全にやめてしまえば、時間とともに確実に筋力は衰えていきます。