筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回のテーマは「筋肉を鍛える順番」について。よく言われるように「大きい筋肉から」鍛えるのがいいのでしょうか。
トレーニングで筋肉を鍛えるときは「大きい筋肉から」とよく言われます。やはり胸や背中、太ももなど、大きな筋肉から鍛えた方がいいのでしょうか?

そのとおりです。理由は三つあります。
まずトレーニングする時間は、人によってまちまちですが、だいたい1~2時間はありますよね。後半になるほど疲れが溜まり、どんどん効果が落ちてきます。だから、体力が十分あるうちに、鍛える価値の高い大きな筋肉を優先的に鍛えましょうというのが一つの原則になっています。
二つ目の理由は、日常の動作にしろ、スポーツの動作にしろ、力を発揮する起点は必ず体幹の大きな筋肉になります。根本の筋肉が大きな力を出して、それを末端に伝えていくわけです。そうした力のつながり方を考えても、大事な筋肉は体の中心に近い大きな筋肉ということになります。