筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回のテーマは、筋トレでバーベルなどを上げ下げする速度について。速い方がいいのか、遅い方がいいのか、どちらなのでしょうか。
コンセントリックは、日本語では「短縮性動作」「短縮性収縮」と言い、筋肉が力を出しながら短くなること。一方、エキセントリックは「伸張性動作」「伸張性収縮」と言って、筋肉が力を出しながら引き伸ばされることです。

バーベルを持ち上げるのはコンセントリック。ブレーキをかけながらゆっくり下ろすのはエキセントリック。もっとわかりやすく言うと、筋肉をモーターとして働かせるのがコンセントリック。ブレーキとして働かせるのがエキセントリックです。
ウエイトトレーニングでは、コンセントリックの時は速く、エキセントリックの時はゆっくりというのが基本です。なぜなら、トレーニング効果は、筋線維をどのくらい使うかによって決定します。筋線維をたくさん使えば速度は速くなり、少ない筋線維に負荷が集中すると遅くなるのです。
つまり、速い速度で負荷を持ち上げている時は、筋肉全体がフルに力を発揮しているということになる。反動を使ったりせず、滑らかに上げるのが条件ですが、可能なかぎりの速度をつけた方がいい。もちろん、80%1RM(第39回参照)ぐらいの負荷になると、速く上げると言っても限界がありますが。