筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回のテーマは「筋トレのスケジュール」について。どのくらいの負荷の筋トレを、週何回実行するのがいいのでしょうか。

筋肉を太くするためには、最低限どのくらいの負荷のトレーニングを、どのくらいの頻度で実行すればいいのでしょう。
これは当然ながら、年齢・性別・日常生活における活動度などによって違ってきますが、一般論ということで説明しましょう。
アメリカのスポーツ医学会でも表明されている「スタンダード」なトレーニングスケジュールがあります。これは、たくさんのトレーニング実験などから、だいたいこのくらいの負荷や量が必要だろうと判断された値です。
まず負荷の強さは、少なくとも1RM(1回しか上げられない重さ)の65% 。確かに私たちが行なった研究でも50%1RMの負荷で普通のトレーニングをしても、筋肉は太くなりませんでした。ですから、強度としては65%が世界標準と考えていいと思います。
ただ、筋肉を本格的に太くしたいということになると、ある程度の大きな力を出すと同時に、どのくらい短い期間に集中してエネルギーを使うかという条件(代謝的な要因)が満たされないとダメです。たとえば65%1RMの負荷を使って、これ以上は上がらないという回数か、それに近いところまで繰り返す。それを3セット以上やるというのが一応の目安です。このプログラムでトレーニングを行なえば筋肉が強く太くなるということが、たくさんの研究で証明されています。