筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回のテーマは「足裏の筋力」について。⾜裏の筋⼒を鍛え、「アーチ」を作るには、どんなトレーニングがお勧めなのでしょうか。
足の裏の筋肉は、足の指を動かす短母趾屈筋や母趾外転筋、虫様筋など、手のひらと同様にたくさんのパーツで構成されています。手のひらは虫様筋と指の屈筋群によってお椀型をつくるようにすぼめることができますが、足の裏も同じ。足の屈筋群と虫様筋の筋肉によってアーチをつくります。

柔道家が畳を踏みしめる。お相撲さんが場外へ出されまいと踏ん張る。ランナーが力強くフィールドを蹴る。これらの動作には、足の裏のアーチが欠かせません。トップアスリートの中には、土踏まずが埋まるほど短母趾屈筋や母趾外転筋が発達している人もいます。一見、偏平足のように見えますが、じつは筋肉が発達している証拠なのです。
足の裏の筋肉を鍛えたら足が速くなるかという質問をよく受けますが、これに関する研究は残念ながらありません。ただ、足の裏のアーチが落ちている人は、走る時のパフォーマンスが悪かったり、疲れやすいという報告はあります。