筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回は筋トレと意識(イメージ)との関係について見ていきます。トレーニングの際、「使っている筋肉を意識して」などとよく言われますが、効果はあるのでしょうか。
イメージと筋力アップは、まったく無関係とは言えないでしょう。というのも、一般的に「最大筋力」と言った場合、これは「筋肉の能力を100%使い切っている状態」ではありません。中枢神経で何らかのブレーキが働いていて、人間は自分が持っている力をフルに使うことはできないのです。

催眠術をかけると筋力が上がるという実験結果があります。また、興奮剤や覚せい剤でも筋力は上がります。それらがブレーキの働きを抑制するからでしょう。イメージトレーニングが自己催眠のようなものだとすれば、うまくやれば最大筋力のアップにつながる可能性は十分にあります。5%、10%伸ばすことも不可能ではありません。
ただし、あくまでもアップの上限は、現在持っている筋肉サイズにあった筋力です。それを超えて、2倍・3倍に増えるということはありえません。