筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回のテーマは「思春期のトレーニング」について。急速に背が伸びるこの時期はどのような点に注意してトレーニングすればいいでしょうか。
思春期というのは、いわゆる成長期。成長軟骨(骨の両端の部分)がさかんに成長し、骨が伸びていく時期です。成長軟骨はやわらかく、衝撃を受けると潰れたりズレたりして障害を受けやすいという特徴があります。ですから、その時期に大きな荷重を骨にかけるのは避けた方が賢明です。

とはいえ、まったく荷重をかけてはいけない、というわけではありません。極端に大きな荷重であったり、量をこなしすぎるのは危険ということです。とくにモノを担ぐ動作は、腰椎の成長軟骨に影響してしまう危険性があるので、重いバーベルを担いでのスクワットなどはやめておいた方がいいでしょう。
それから、気をつけたいのはジャンプ系のトレーニング。これは軽い負荷であっても、瞬間的に大きな荷重がかかります。1回の時間が短いとはいえ、あまり多くの回数をこなして繰り返し刺激を与えると、やはり障害につながる可能性があります。中学生などによく見られるオスグッド病(ヒザのお皿の下が腫れて痛くなる)も、ジャンプ動作の反復を主な要因とするヒザの成長軟骨の障害です。