筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回のテーマは、筋肉量、最大筋力、筋持久力、筋パワーという筋肉の各指標の伸ばし方について。どんなトレーニングが最適なのでしょうか。

筋肉の質や量を見る指標には、(1)筋肉量、(2)最大筋力、(3)筋持久力、(4)筋パワーなどいくつかあります。それぞれを伸ばすためには、どんなトレーニングをすればいいのでしょうか?
(1)は文字通り、筋肉の量。(2)は今ある筋肉で発揮できるMAXの筋力。(3)は筋肉が長時間にわたって力を発揮しつづける能力。(4)は、いわゆる筋肉の馬力です。

(1)筋肉量を増やすためには、80%1RMを中心にしたトレーニングを行なうのがベスト(第39回参照)。筋肉の量が増えれば、それに比例して筋力も増えるので、(2)最大筋力もある程度は伸びていきます。あくまでも(1)がメインですが、10%筋肉が太くなったら、筋力も10%増えるというのが基本的な考え方です。
(2)最大筋力が重視されるのは、体重別の競技や、筋肉のサイズを大きくするのは不都合というケースだと思います。この場合は、負荷を90%1RM以上にした方がいい。そうすると、筋肉が5%太くなって、最大筋力は15%増えるといった効果が現われます。ただ、おのずと上限があり、現在の筋肉量で出せる最大の筋力まで到達したら、それ以上はいくらやっても増えません。あとは筋肉を太くするしかないということになります。