筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉やトレーニングの正しい知識をやさしく解説していきます。今回は、筋肉のタイプによってトレーニング効果がどう違うかを見ていきます。速筋線維と遅筋線維では、筋トレ効果が出やすいのはどちらでしょうか。
トレーニングで太くなりやすいのは「速筋」
筋線維には、大雑把に分けると収縮速度の速い「速筋線維」と持久力の高い「遅筋線維」という二つのタイプがあるのはすでに説明しました。各部位の筋肉は、この割合によって特性も変わってきます。

二つのタイプのうちトレーニングによって太くなるのは、主に速筋線維。このことは、筋力トレーニング前後で筋線維がどのくらい太くなったかを調べた研究からも実証されています。大腿四頭筋の場合、トレーニング前は速筋線維と遅筋線維の断面積の割合が1.2対1ぐらいだったのが、3カ月間のトレーニング後は1.6対1になったという報告もあります。