筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、無駄な脂肪が落ち、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、残念ながらすべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉やトレーニングの正しい知識をやさしく解説していきます。
今回は、筋線維から分泌される「ミオスタチン」というタンパク質を取り上げます。このミオスタチン、筋肉の成長においてとても重要な役割を担っているのです。
「ミオスタチン」または「マイオスタチン」は、筋線維から分泌されるタンパク質です。その働きですが、筋肉の成長を「邪魔する」というよりは、筋肉の成長を「強く抑制する」成長因子の一つという表現が正しいでしょう。

では、なぜ成長を抑制する因子が必要なのでしょうか。筋肉の元になる細胞である「筋サテライト細胞」(第2回参照)は筋肉の発達や復元にはなくてはならない細胞ですが、筋サテライト細胞がとめどなく分裂して増えすぎてしまうと、筋肉が異常に太くなりすぎたり、簡単にがんになってしまう危険性もあります。
そこで、筋サテライト細胞の増殖を促す成長因子がある一方で、ミオスタチンのように細胞の増殖にブレーキをかける因子もあるわけです。
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