筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回は前回に引き続き、チューブトレーニングを取り上げます。効果を出すにはどのように活用すればいいのでしょうか。
チューブトレーニングを効果的に行なうために、まずはその特性を知っておく必要があります。

第103回でも説明したように、チューブトレーニングは引っ張れば引っ張るほど負荷が大きくなっていきます。多くのスポーツは、はじめの方にグーッと力が出て、後は比較的力を抜いて惰力を利用しますので、動作的にはまったく逆になります。でも、たとえば水泳やボートなど、流体を相手にする運動の場合は、最後にぐっとストロークの力が入る。そういう種目では、チューブトレーニングの負荷形態は利用価値があると思います。
チューブトレーニングのもう一つの利点は、なんと言っても「体にやさしい」ということです。急にガツンと負荷がかかるとケガの危険性も出てきますが、チューブトレーニングは徐々に負荷がかかります。これ以上は引っ張れないというところでやめればいいのです。以上のような利点と欠点をよく理解した上で取り組んでいきましょう。
チューブは関節の可動域全体を使えます。ただ、途中までは楽に引けますが、徐々に重くなってきます。そこで、もがくような状態になってしまうと、効果が出ませんし、ケガにつながる場合もあります。最後まで正しいフォームを意識しながら引くことが大切です。