筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回はゴムチューブを使ったトレーニングのメリット、デメリットについて見ていきましょう。
チューブトレーニングの利点は、場所を選ばずトレーニングできること。安いこと。そして、最初は負荷抵抗がほとんどなく、引っ張るにしたがって負荷抵抗が大きくなるので、キツくなったところでやめられること。リハビリテーションにも向いていますね。

また、ゴムの長さを調節すれば、強さを簡単に変えられます。短くすれば最初から抵抗がキツくなり、ゆるめておけば最初は楽に引っ張れる。自由に負荷調整ができることも利点の一つでしょう。
欠点は、利点と表裏一体。最初は負荷がかからず、引っ張るほどにかかるというのは、実際のスポーツにおける筋力発揮の形態とはまったく逆になります。スポーツ動作の場合は、どちらかと言うと動作の起こりはじめか、中盤より前の段階で最大の力が発揮されるのが普通です。動作にもよりますが、後になればなるほど力を出すというケースは、ほとんどありません。