筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回のテーマは「首の筋肉の鍛え方」について。首は鍛えにくい部位なのでしょうか。そしてどんなトレーニングが有効なのでしょうか。
一般に、首を鍛えるという機会は多くないでしょう。首の筋肉は鍛えにくいのでしょうか?
そんなことはありません。むしろ、刺激に対する反応が高く、トレーニング効果が現われやすい部位と言えます。普段あまり鍛える筋肉ではないので、少しトレーニングしただけでも、みるみる太くなります。アメリカンフットボールの選手を見ると、みんな顔からはみ出すほど首が太いですよね。練習後の補強として首を鍛えるだけでも、あんなふうになる。それだけ変化が起こりやすい筋肉なのです。

レスリングなどでは、ブリッジで首を鍛えるのが基本的なトレーニングに含まれていますが、これだけでも十分なレジスタンストレーニングになります。このトレーニングは、ブリッジの姿勢を取るだけでなく、その状態で首を前後左右に動かします。頚椎が曲がらないように、絶えず首の筋肉が抵抗しながら運動をしていることになります。
ブリッジ自体は全身を使った運動ですが、重心を負荷としてかけることによって、首の筋肉はその運動に「耐える」という働きをする。どちらかと言うと、エキセントリック(第42回参照)なトレーニングということになりますね。