筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回は筋肉と血行について見ていきましょう。筋肉が増えると、毛細血管が増え、血行もよくなるのでしょうか。
確かに筋線維のまわりには毛細血管が取り巻いていますが、筋肉量そのものと、毛細血管の数や量は、必ずしも比例しません。筋肉が多い人ほど毛細血管が多いかと言うと、決してそうではないんですね。

筋肉の中の毛細血管というのは、筋線維のタイプに依存しています。有酸素性代謝にすぐれていて持久性の高い筋線維(遅筋線維)は、筋線維あたりの毛細血管の数が多い。逆に速筋線維は、太いけれども毛細血管の数はそれほど多くない。ですから、筋肉が太いからと言って、毛細血管が発達していて血行が良いとは限らないのです。
血行の良し悪しは筋肉量ではなく、むしろどういう運動をよくやっているかに依存します。一般的にはエアロビックな運動(有酸素運動)をよくやっている人の方が、筋肉の中の血行がいいと言えます。