筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回のテーマは「オールアウト」について。筋トレで効果を上げるには、余力を残さずオールアウトした方がいいのでしょうか。
基本的にはYESです。オールアウトに一番当てはまる日本語は「疲労困憊」。こう訳すと、全身的な印象を受けますが、ここではあくまで筋肉の疲労困憊という意味で使います。

第41回でも触れたように、1RM(1回しか上げられない重さ)の65%の負荷を使って、ギリギリ限界に近い回数を繰り返す。それを3セットこなすのが標準的なトレーニングメニューです。年齢にかかわりなく、このくらいはやらないとトレーニング効果が上がらないという、最低限の値ですね。
オールアウト手前で余力を残してトレーニングを終えた場合でも、効果はそこそこ現われます。ただ、65~70%程度の負荷だと、最初の数回は筋肉を完全には使いきっていません。最後にキツくなって、やっと筋肉を総動員するような変化が起こります。
そこまで使わないと、筋肉に大きな効果は起こりません。本気で鍛えたいなら、やはり回数を増やして最終的にオールアウトするか、それに近い状態までいかないとダメです。