筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回は“全身持久性能力”などとも言われる有酸素性能力と筋力アップの関係について詳しく見ていきましょう。
トレーニング前や、試合で筋力を出さなければいけない時などは、軽い有酸素運動でウォーミングアップをすることでパフォーマンスは上がります。

また、筋力を高めるトレーニングにおいても有酸素性能力は重要です。というのも、バーベルを1回持ち上げて終わり、というトレーニングはありません。トータルとしてどのくらいの量を持ち上げたかが問題で、ウエイトリフティングでも1回のトレーニングで「○トン上げる」といった表現のしかたをします。1セットやって休み、また1セットやって休み、また1セットやる。そういうメニューの組み方が必要なのです。
休んでいる時は、体の中で有酸素性の代謝が起きています。それによって前のセットの疲労を回復し、また次のセットで力を発揮することができます。休憩中にいかに筋力を回復させるかが、質の高いトレーニングにつながるのです。つまり、有酸素性能力の高さは、長い目で見るとトレーニング効果を左右するファクターになります。