筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回のテーマは「有酸素運動の継続時間」について。「20分以上続けないと脂肪が燃えない」などと言われることがありますが、これは本当でしょうか?

はっきり言ってウソです。というか、20分続けないと脂肪が燃えないという言い方が不適切です。普段から使っているエネルギーの半分くらいは、脂肪でまかなわれているのですから。
運動をすると、エネルギー需要が一気に増えます。その分をどうするかと言うと、まずは手っ取り早くエネルギーになりやすい糖質で対処します。したがって、運動の開始時は、エネルギー全体における脂肪の割合はグッと下がってしまいます。
その後、交感神経が活性化されてくると、アドレナリンやノルアドレナリンといったホルモンが増え、脂肪がさかんに分解されるようになります。すると、脂肪酸とグリセロールという物質が血液中に出てくる。今度はそれを取り込んでエネルギーとして使うようになります。そうなるまでには、確かに15~20分ほどの時間がかかります。