筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、無駄な脂肪が落ち、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、残念ながらすべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉やトレーニングの正しい知識をやさしく解説していきます。第8回のテーマは「筋線維組成の調べ方」。自分が速筋が多いタイプ(スプリンター型)なのか、遅筋が多いタイプ(マラソンランナー型)なのかは、どうすればわかるのでしょうか。
筋線維組成を調べるのはとても大変
速筋線維の多い人はスプリンター型、遅筋線維の多い人はマラソンランナー型(詳しくは第7回を参照)。こんな話をすると、自分の筋線維のタイプをぜひ知りたいと思う人も出てくるかもしれません。

でも、はっきり言って筋線維組成を調べるのは大変です。
最近は技術も進み、それほど大げさではなくなっていますが、方法としては、まず麻酔注射をして皮膚を開く。それからボールペンぐらいの太さの針をブスッと刺して、筋肉の組織を取ります。検査の後、1週間は肉ばなれと同じ状態が続くことになります。外科手術に相当するような検査ですから、研究目的の場合でさえ倫理審査などを通すのが大変です。
フィンランドやデンマークなどでは、わりと頻繁にこの検査をやっています。日本よりはるかにチャンスは多いかもしれない。ということで、調べてもらいたかったら北欧に行くのが一番手っ取り早いと思います。でも、わざわざ北欧に行って痛い思いをするのもなんですよね。
それに筋線維を調べるといっても、大腿四頭筋の一番外側の筋肉から一部を取るぐらい。本当は何ヵ所からも採取して調べないと、全身的な比率はわかりません。自分の興味のためだけにやるのなら、あまり意味はないと思います。