筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、無駄な脂肪が落ち、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、残念ながらすべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉やトレーニングの正しい知識をやさしく解説していきます。第7回のテーマは「筋肉の種類」について。筋肉は大きく「速筋」と「遅筋」の2つに分かれますが、実はさらに細かく分類されています。
「速筋」と「遅筋」の違いは?
筋線維には、今のところ7種類のタイプがあるとされています(今のところ、です。じつは正確に何種類あるかは、まだ特定されていません)。最も大雑把なタイプ分けをすると、「速筋線維」と「遅筋線維」という2つのグループになります。速筋線維は5種類、遅筋線維は2種類に分けられ、合計7種類。まずは遅筋線維の1種類(タイプ1)と、速筋線維の2種類(タイプ2A、タイプ2B)を覚えておきましょう。

速筋線維は収縮速度が速く、力も大きい。そのかわりスタミナがないのが特徴。スプリント型の筋線維と言われています。一方、遅筋線維は収縮速度が遅く、力も小さい。そのかわりスタミナがある。マラソン型の筋線維です。タイプ2Bはスプリンター中のスプリンター。収縮速度はひじょうに速いけれども、すぐに疲れる。タイプ2Aはタイプ1と2Bの中間的な性質があり、力も速度もスタミナもあるオールマイティな筋線維です。
この3種類の筋線維は色も違います。タイプ1は赤い色。ミオグロビン、チトクロームという赤いタンパク質を多く含んでいるからです。これらのタンパク質は酸素を筋線維中に取り込むことで、エアロビックなエネルギー生産を助ける働きがあります。だからタイプ1はスタミナがあるのです。
一方、タイプ2Bはミオグロビンもチトクロームもきわめて少ないので、筋線維の色は白っぽくなります。というわけで、速筋線維を白い筋線維、遅筋線維を赤い筋線維を呼ぶのです。では、タイプ2Aはというと、赤と白の中間の色をしているので、中間色、あるいはピンク色の筋線維と言います。