筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、無駄な脂肪が落ち、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、残念ながらすべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉やトレーニングの正しい知識をやさしく解説していきます。
第5回のテーマは、破壊された筋線維はどうなるか。トレーニングなどで「筋肉が破壊される」とよく言われますが、そのとき筋肉では何が起こっているのでしょうか。
トレーニングによって「筋肉が破壊される」とよく言いますが、破壊と言ってもそれほど大げさなものではなく、基本的には筋線維の構造がポチポチと乱れる程度です。ブチブチと筋線維が切れたり、鍛えた部分の筋線維がボロボロになったりするわけではありません。

切れるほど酷使された場合は、壊死と言って筋線維は死んでしまいます。壊死した線維はタンパク質分解酵素によってアミノ酸に分解され、溶けていきます。そして、次の筋肉の材料として再利用されたり、尿素となってオシッコとともに体外に出ていくのです。
一方、壊死した部分では、筋線維の再生が起こり、10日~2週間ほどで新しい筋線維がつくられます。