筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、無駄な脂肪が落ち、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、残念ながらすべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉やトレーニングの正しい知識をやさしく解説していきます。第2回のテーマは「筋肉が強くなるメカニズム」。筋肉が強くなる時、体の内部ではどんなことが起こっているのでしょうか。
生物は、つねに新しい環境に適応しないと生き残れません。それは筋肉も同じ。環境が過酷になると、それに適応するように機能を強くしていくというメカニズムが働きます。筋肉はほかの細胞と比べてもその能力が高く、しかも早く起こります。強いストレスをかけると、それに抵抗するように太くなる。どうして太くならなければいけないか。それは筋肉が出す力は、筋肉の断面積に比例するからです。

筋線維のまわりには、筋線維を補修する小さな「筋サテライト細胞(衛生細胞)」というものが張りついています。筋線維の本体に何か問題があると、その筋サテライト細胞が増殖して、壊れた部分を埋めるように新しい筋線維をつくる働きをします。完全にブチッと切れて筋線維が死んでしまった時は、筋サテライト細胞がさらに増殖して、新しい筋線維をつくる。これを「筋線維の再生」と言います。
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