筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、無駄な脂肪が落ち、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、残念ながらすべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉やトレーニングの正しい知識をやさしく解説していきます。第1回のテーマは「筋肉の仕組み」。知られざる筋線維の姿が明らかになります。
筋線維の細胞は巨大! 1つ死んだだけでも被害甚大
筋肉は主に筋線維でできています。筋線維の特徴は細胞が巨大であること。一つの細胞の太さが40~100µm(マイクロメーター)で、長さは10cm以上になるものもあります。ほとんど髪の毛と同じぐらいの大きさですね。

なぜこんなに大きくなるかというと、「筋芽細胞」という小さな細胞がベタベタと融合して、一つの細長い線維状の細胞をつくっているからです。
その細胞がたくさん集まった筋線維は、何百戸も入っているマンションのようなもので、維持・運営がひじょうに大変。細胞の栄養補給、太さや大きさの調節、エネルギーのやりくりなどを一つの核ではまかないきれないので、細胞の中には核がたくさんあります。それぞれが分業しあって大きな細胞を維持しているのです。ですから一つの筋線維でも、端の方と真ん中の方では状況が違ったりすることもあります。