筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回のテーマは「加圧トレーニング」について。加圧トレーニングはなぜ軽い負荷で筋肉が太くなるのでしょうか。
加圧トレーニングとは、筋肉の根本にベルトを巻いて圧力を加え、筋肉中の血液循環を抑制した状態でやるトレーニングです。それによって何が起こるかと言うと、20%程度の力で筋肉が強くなります。

加圧するのは、血液が筋肉に流れる入り口ではなく出口。つまり、静脈側に圧力をかけます。すると、乳酸や水素イオンなどの代謝物が筋肉から出て行かずに溜まってきます。その結果、即発性の筋痛(第15回参照)が早くやってきて、あっという間に、筋肉が激しい運動をした後のような状態になるのです。
それが強い刺激となって、成長ホルモンも大量に分泌されます。普通のトレーニングではとてもそこまで分泌されないぐらいの量が出てくるのです。そういったメカニズムが一つの要素となり、軽い負荷でも筋肉が太くなるわけです。