筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回のテーマは「筋肉の人種差」について。筋肉量や筋肉のつきやすさは、人種によってどのくらい違いがあるのでしょうか。
筋肉そのものの人種差については、学術的な研究はあまりありません。経験的なもの、または外観で判断するしかないのが現状です。

ただ、筋肉量については、多少研究報告があります。LBM(除脂肪体重)をアジア人と白人で比較すると、アジア人は5kgぐらいハンデがある。筋肉量としてはアジア人の方が少ないと言えそうです。
では、どのあたりが大きく違うのか。ボディビルやそのほかの競技の選手で判断すると、どうやら背面の筋肉は欧米人や黒人の方がアジア人より多い傾向があります。これは、欧米人の方が“引き”の力が強いということの根拠となりそうですね。ボート競技でアジア人が活躍できないのも納得するしかありません。もともとのリーチ差に加えて、筋力のハンデもあるわけですから。