筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回のテーマは「肩こり」。中高年になると肩こりに悩む人が増えます。肩こりを解消する、あるいは未然に防ぐ方法はないのでしょうか。
多くの人が悩む「肩こり」。これはどんなメカニズムで起こるのでしょうか?
一般論としては、持続的な緊張によって筋肉の中の循環が悪くなり、硬い状態になると考えられています。その点では「スロートレーニング」と同じですが、スロトレよりも弱い緊張がずっと続いていく。すると、筋肉の中の血行が悪くなって、そこに代謝物が溜まってくる。これもスロトレや「加圧トレーニング」と同じ状態です。ただ、スロトレや加圧は、筋肉中の乳酸や水素イオンの濃度が高くなるものの、やめればスーッと代謝物も抜けていきます。

ところが、肩こりの場合はもっと長期にわたって、じわじわと代謝物濃度が上がってくる。しかも、溜まった物質が出ていかない状態が続くので、筋肉中の感覚神経が刺激されて、ズシーンと重いような、だるいような痛みが続くのでしょう。ということで、肩こりを解消するには、やはりマッサージやストレッチで血行を良くして、緊張をほぐすのが一番だと思います。