筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回のテーマは「ストレッチ」について。トレーニングの前のストレッチは、パフォーマンスやケガ防止にどう影響するのでしょうか。
まずケガの防止という点で、ストレッチの効果はあります。ストレッチをせずにトレーニングすると、筋肉が必要以上に興奮し、それがケガの原因になることがあるのです。また、ストレッチによって関節可動域を確保した方が、より安全なトレーニングができるでしょう。

しかし、トレーニングのパフォーマンスが上がるかと言うと、それは疑問です。むしろ最近の研究では、逆の報告が目立ちます。ストレッチをやりすぎると、筋肉を伸ばすことに対する感受性が低下する。つまり、筋肉への神経系の調節機能が低下してしまうのではないかと。