筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回は「スロートレーニング」の仕組みと効果について見ていきましょう。
「スロートレーニング」という正式な呼び名や定義はありません。アメリカで登録商標を取っているのは「スーパースロー」というトレーニングで、「負荷を4秒で下ろし、10秒で上げる」というのが基本です。

我々が研究しているトレーニング法は「張力維持スロー法」という呼び方をしています。「何秒で」という基準はなく、「筋肉の出力をゆるめないように動作をする」ことがポイントになります。ゆるむフェーズをつくらないために、結果的に「3~4秒で上げて3~4秒で下ろす」ことにはなります。これも「スーパースロー」とともに、スロートレーニングと呼んでいいと思います。
張力維持スロー法は、力を発揮し続けることで筋肉の内圧を高め、それによって筋肉中の循環を抑えるのが目的です。加圧トレーニングと似たような状況になるわけです。