筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回のテーマは「インナーマッスル(深層筋)」の働きについて。インナーマッスルを鍛えることは、反応や反射にも影響するのでしょうか。
深層筋(インナーマッスル)は、表層筋の下で体を内側から支えている筋肉。表層筋が表舞台で活躍する役者とすると、深層筋は陰で舞台を支える黒子のような存在と言えなくもありません。

ただ、この黒子はじつにいい働きをします。外から急激な力が関節にかかった時などに上手に補正して、姿勢を維持したり障害を未然に防いでくれます。この働きを促しているのが、じつは反射なのです。
ふくらはぎを例に挙げて説明してみましょう。第68回でも触れたように、ふくらはぎは二つの筋肉でできています。腓腹(ひふく)筋の内側にヒラメ筋があるので、ふくらはぎで言うとヒラメ筋が深層筋にあたります。