筋肉こそ生命活動の原動力。筋肉が活動的になれば、代謝が活性化し、健康で元気な体になります。世の中にはいろいろな「筋肉の常識」がありますが、すべて正しいとは限りません。本連載では、筋肉博士・石井直方先生が、筋肉の正しい知識をやさしく解説していきます。今回は、筋肉の緊張を解き「弛緩させる」ことのメリットやデメリットについて見ていきましょう。
筋肉を弛緩させることに、どんなメリットがあるでしょうか?
第一のメリットは、筋肉の緊張を解いてやることで、安らかに眠れるような体のモードに持っていけること。全身の筋肉が緊張した状態だと、夜も眠れません。不眠は病気の元、筋力ダウンの元ですからね。

もう一つのメリットは、動作がスムーズになることです。筋肉は、姿勢を維持するためもあり、つねに多少の緊張を保ち続けています。でも、緊張が大きすぎると、いざ動作をしたいと思った時にスムーズに動き出せず、ロボットのようにぎくしゃくした動きになってしまいます。
たとえば、ヒザを伸ばしたい時にヒザの裏の屈筋が緊張していると、「イテテテ」という感じでヒザが伸びきりません。そこで、ストレッチや筋弛緩法(筋肉に力を入れてから脱力させ、緊張をほぐす方法)によって、緊張をほぐしてやるのです。