肉と大豆ならどっち? たんぱく質摂取の5大ポイント
第3回 量だけでなく「質」も大きなポイント
村山真由美=フリーエディタ―・ライター
筋肉を維持するためのたんぱく質のとり方を紹介してきた本特集。これまでたんぱく質の摂取の不足はもちろん、過剰もよくないこと、そして3食コンスタントにとるとムダにならないことを紹介してきた。最終回の今回は、具体的に何を食べればいいのか、また運動と食事の関係について神奈川県立保健福祉大学教授の鈴木志保子さんに聞いていく。たんぱく質摂取は、量だけでなく「質」も大きなポイントとなる。
量だけでなく、「質」も見なければダメ

筋肉を維持するためには「たんぱく質をいっぱいとったほうがいい」と思いがちだが、たんぱく質の摂取は、不足がよくないのはもちろん、過剰になってもいいことはない(詳しくは第1回、第2回を参照)。そして、たんぱく質は朝昼晩でコンスタントにとるのが理想的で、特におろそかにしがちな朝食では忘れずにたんぱく質を摂取したい。
では、具体的に何を食べるのがいいのだろうか。
たんぱく質を多く含む食品の中でも、「大豆製品など植物性たんぱく質のほうがヘルシー」と思う人もいるだろう。一方で、「肉のほうが筋肉になりそう」というイメージを持っている人も多いだろう。
今回の特集では「1日60g、1食20gを目安に」と繰り返し説明してきたが、適量をとってもそれが筋肉などの合成に適切につながらないものだとしたら大いに問題だ。本特集ではこれまで、たんぱく質の摂取「量」のことしか触れていなかったが、同時に「質」についても考えたい。
よく「『良質な』たんぱく質をきちんととろう」などと言われる。この良質とはいかなるものなのだろうか。
たんぱく質の質を評価するアミノ酸スコア
たんぱく質源というと、肉、魚、卵、大豆製品、乳・乳製品などが代表的、さらに肉といっても、牛・豚・鶏・羊などとさまざまある。“質”がいいのはどれだろうか。鈴木さんは、こう説明する。
「食事でとったたんぱく質は、胃腸でアミノ酸に分解・吸収され、体内でたんぱく質の合成などに使われるので、基本的にはどれからとっても一緒です」(鈴木さん)
第1回で説明したように、食品からとったたんぱく質は、胃や小腸でアミノ酸に分解・吸収され、各細胞で必要なたんぱく質に合成される。つまり、何からとっても、分解されて材料になってしまえば、アミノ酸として利用されるということだ。
そして、アミノ酸は20種類あるが、体内でたんぱく質をきちんと合成するには、摂取する食物に、体内で合成できない(または、できても合成量が少ない)9種類の必須アミノ酸が十分にそろっていることが重要だ。