“普通の人”が100歳以上生きるために必要なこと
第2回 要注意! 「内臓脂肪」と「腸」の関係が病気の連鎖を招く
梅方久仁子=ライター
100歳以上の人口が7万人に迫り、今生まれた子供の半数は100歳以上生きられるという。人口が減少し超高齢社会に突入した日本では、人生後半の生き方が大きく変わろうとしており、政府も「人生100年時代構想会議」を立ち上げて盛んに議論している。
長寿の謎に挑む医学研究の第一人者である、慶應義塾大学医学部教授の伊藤裕氏に、臓器間連関、腸内細菌、長寿遺伝子など、鍵を握るトピックについて聞いた。
要介護の原因は1位認知症、2位脳卒中
今、生まれた子供は、その半分が100歳以上生きると予測されている。
現在、日本人の死因の第1位は「悪性新生物(がん)」であり、第2位は「心疾患(心臓病)」だ(平成28年「人口動態統計」より)。第3位は長らく「脳血管疾患(脳卒中)」だったが、2011年に「肺炎」にとって代わられた。高血圧に効果的な薬が多く開発され、血圧が下がり、脳卒中が減っていったのに対し、寝たきりなどになって肺炎を併発する人が増えたためだ。特に最近は「誤嚥性肺炎」が話題になっている。
今後、がんなどの病気の新しい治療法が登場することで、平均寿命は延びていくかもしれない。だがいくら長生きできても、寝たきりなどの要介護状態になる期間が長ければ、人は幸せだとは言えないのではないだろうか。
それでは、寝たきりになる原因は何だろうか。平成28年「国民生活基礎調査」によると、要介護になった原因は第1位が「認知症」、第2位が「脳血管疾患(脳卒中)」、第3位が「高齢による衰弱」だった。
寝たきりの原因となる認知症や脳卒中も、ある日突然、そういう状態になるわけではない。長い時間をかけて、体の中が変化していく。時間をさかのぼって見れば、認知症や脳卒中の原因の大本の1つは、「生活習慣」に行きつく。
これを図式化したのが、前回も紹介した、「メタボリックドミノ」だ。メタボリックドミノは、2003年に慶應義塾大学医学部教授の伊藤裕氏が提唱したもので、生活習慣が原因の肥満が、やがて「食後高血糖」「高血圧」「脂質異常」を招き、時間の経過とともにそこからさまざまな病気が連鎖的に起こる様子を表している。