脳卒中や心疾患など、命にかかわるさまざまな病気の原因となる「高血圧」。その怖さは分かっているつもりでも、生活を変える煩わしさもあってか、そのまま放置している人や、対策が長続きせずうまく下げられずにいる人も多い。収縮期血圧(上の血圧)が基準値の140より低くても130以上であれば「高値血圧」と言い、生活改善が望まれる。そこで本記事では、なぜ血圧を下げる必要があるのかや、手軽で効果的な「血圧リセット術」について紹介する。今年こそ、高血圧を改善しよう。
高血圧、糖尿病、脂質異常症などはいずれも、放っておくと脳卒中や心疾患など、命にかかわるさまざまな病気を引き起こすので、どれも早急に改善することが求められる。東京女子医科大学高血圧・内分泌内科教授の市原淳弘さんによると、その中でも、特に体に大きなインパクトを与えるのが高血圧だ。数ある生活習慣病の中でも最優先で改善を要するのが高血圧であり、高血圧を改善すれば大きなメリットが得られるという。
そう言われてもピンとこない方も多いかもしれないが、ここで下のグラフをご覧いただきたい。これは、がん、心臓病、脳血管障害といった感染症を除く病気(非感染性疾患)と外傷による成人の死亡に、どんな危険因子がどのくらい影響するかを示したものだ。

これによると、「喫煙」に次いで多いのが、「高血圧」だ。この2つに関連した死亡者数が圧倒的に多く、ほかの追随を許さない「2大危険因子」であることが見て取れる。読者の皆さんの中には非喫煙者も少なくないと思うが、タバコを吸わない人にとって高血圧はリスクNo.1の要因なのだ。
しかし、血圧が高くてもこれといった自覚症状はないことも多い。そのため、少々数値が上がっても「血圧を下げよう!」というモチベーションが高まりにくいのが難点だ。高血圧対策として「減塩」が大切だと知られているが、減塩一辺倒の対策では「つらい」と感じてやりたがらない人や、やったとしてもすぐに挫折してしまう人も多い。あるいは、血圧を下げるために運動がいいと分かっていても、運動習慣がない人にとってはおっくうで長続きしにくいこともあるだろう。
そこで本記事では、高血圧を放置するとどうなっていくのか、なぜ血圧を適正値にキープすることが大切なのかを今一度確認しつつ、ハードな減塩食だけに頼らずに適正血圧を取り戻す「血圧リセット術」について解説する。