新型コロナウイルスの新規感染者が再び急増し、日本は今、流行の第3波を迎えている。今後さらに気温と湿度が下がると、ウイルスの生存により適した条件が整うようになる。これ以上の流行拡大を防ぐためには、1人1人が感染予防策を改めて見直し、感染リスクの高い行動を避けて生活することが不可欠だ。第3波を乗り切るためのコロナ対策を、もう一度まとめた。
テーマ別特集 第3波を乗り切るためのコロナ対策
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Index 2
Index 3
新型コロナウイルスが再び勢いを増し、日本は今、第3波のただなかにある(図1)。全国の新規陽性者数は第2波のピーク時を超え、1日2500人を上回る日も出てきた。重症者数も450人を超えるまでに急増し、医療機関の診療体制を圧迫している。
自分がコロナに感染して重症化したり、最悪の場合命を落とすという事態はもちろん避けたいし、たとえ軽症で済んだとしても、再感染したり、長期間にわたって疲労感などの後遺症に悩される可能性もある。また、患者が急増すると、医療崩壊が起こり、コロナ以外の急病や事故で救急搬送が必要になった際に、受け入れ先の医療機関がなかなか見つからなかったり、がんなどの病気の手術がなかなか受けられなくなってしまう恐れもある。
感染者の急増を抑え込むためには、1人1人が気を引き締め、感染リスクの高い行動を避けて生活することが大切だ。
幸いなことに、このウイルスが流行し始めた当初に比べると、世界中でさまざまな研究データが蓄積され、感染が起こりやすい場面や、効果的な予防策などが明らかになってきている。それらの知見を以下にまとめていこう。
最も重要なのは「飛沫感染」を避けること
新型コロナウイルスがどのように感染を広げていくかについて、米国の研究グループがその特徴をまとめたものが、以下の表だ(*1)。
これまでに明らかになった新型コロナウイルスの感染の特徴
- ほとんどの感染は鼻や咽頭を介して発生し、経路は主に飛沫感染である
- マスクは感染を抑制するために有効な手段である
- 発症前の患者や無症状の感染者からもウイルスは排出される
- 1人の患者から感染する患者の数は一定ではなく、スーパースプレッダーが感染拡大に主な役割を果たしている
- クラスターは、換気の悪い室内に多くの人がとどまる状況下でしばしば発生している
さまざまな物質の表面に付着した新型コロナウイルスが、感染力を持った状態でどのくらい長く存在しているのかについて調べた実験結果は複数報告されている。例えば、サージカルマスクの内側に付着した場合は少なくとも4日後、外側(表面)では7日後まで感染力を持つことが、香港大学の研究者が行った実験で明らかになっている(関連記事「新型コロナ、サージカルマスクの表面で7日間感染力を示す」)。
だが、リアルワールドにおいて、環境に存在しているウイルスに触れた手などを介した接触感染が、実際に起きたことを明確に示したエビデンスは、これまでのところ得られていない。感染者が生活していた場所や使用した食器から検出される新型コロナウイルスの量は、本人の鼻や咽頭の中に存在するレベルに比べて非常に少ないことが分かってきており、論文の著者らは、「接触感染は起こりうるが、非常に特殊な条件でのみ発生するのではないか」と述べている。
