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テーマ別特集

宴会で「尿酸値・血糖値・中性脂肪」を上げない賢い飲み方

ビールだけを避けても意味がない? 唐揚げとポテトサラダ、どっちがNG?

 日経Gooday編集部

年末年始や年度の変わり目など、宴会が増える季節に、楽しくお酒を飲みながらふと頭をよぎるのが、「体重の増加」と「気になる検査値への影響」ではないだろうか。暴飲暴食が続くとさまざまな検査値に影響が及ぶ。今回は、働き盛りの世代に身近な「尿酸値」「血糖値」「中性脂肪」を上げないための、宴会での上手な飲み方・食べ方のコツをまとめた。

テーマ別特集「お酒と尿酸値・血糖値・中性脂肪」

Index 1

尿酸値が気になる人はビールを避けるべき?

Index 2

食後高血糖を抑える飲み方の鉄則は?

Index 3

中性脂肪が気になる人は「脂身」より「糖質」に注意!


 毎日の晩酌は欠かせないという人はもちろん、普段はそこまでお酒を飲まない人でも、宴会が続く季節は自然と酒量が多くなり、暴飲暴食を重ねがち。そうなると気になるのが「体重の増加」と、「検査値への影響」ではないだろうか。

 「尿酸値が高くて、いつ痛風になるかとビクビクしている」

 「この前の健康診断で血糖値が上がっていたな…」

 「お酒は飲みたいけど、中性脂肪を増やしたくない!」

 …そんな働き盛りのGooday読者のために、今回は、「尿酸値」「血糖値」「中性脂肪」の数値を上げないための、宴会での上手な飲み方・食べ方のコツを、過去の人気記事からまとめてみよう。

尿酸値が気になる人はビールを避けるべき?


 お酒が好きな人、特にビール党が気になる検査値の代表といえば、「尿酸値」ではないだろうか。健康な人の尿酸値は5.0~6.9mg/dL程度だが、この値が7.0mg/dLを超えてくると「高尿酸血症」と呼ばれ、血液中の尿酸が結晶化しやすくなる(図1)。

 結晶化した尿酸は関節にたまって炎症を起こし、やがて足の指、膝などに激しい痛みを引き起こす。これが痛風の発作だ。痛風は正確には「痛風関節炎」といい、その痛みは「風が吹いただけで痛む」というほどの激痛だという。

 尿酸値が高い人がもれなく痛風発作を起こすわけではない。だが、尿酸値が高くなるほど、痛風発作を起こすリスクは高まっていく。それだけではない。尿酸値が上昇するにしたがって、糖尿病や高血圧、脂質異常症などを合併する人が増え、腎機能が低下したり、尿路結石ができやすくなったりする。無症状だからといって、尿酸値の上昇を放置していると危険なのだ。

図1 尿酸値が7.0mg/dLを超えると高尿酸血症
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版』(日本痛風・核酸代謝学会 ガイドライン改訂委員会)を基に編集部で作成

 この尿酸は、プリン体という物質から作られる。プリン体は、細胞内の核酸を構成する物質の1つで、細胞の中に必ず含まれている。尿酸は体内のプリン体が分解されるときに生じる老廃物だ。プリン体の7~8割は体内で作られ、残り2~3割が食品から取り込まれる。このため、血液検査で尿酸値が高い人は、プリン体を含む食品や飲料を控えたほうがいいといわれる。

 100g当たりに200mg以上のプリン体を含むものを高プリン体食品という(図2)。高プリン体食品は、動物の内臓や魚の干物などに多い。お酒ではビールが代表格だ。

図2 プリン体が多い食品
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版』(日本痛風・核酸代謝学会 ガイドライン改訂委員会)より

 「もともと尿酸値が低い人は、プリン体を過度に気にする必要はありませんが、肥満の人、尿酸値が高い人は、食品からとるプリン体の影響を強く受けます。尿酸値が高い人はプリン体を多く含む食品の摂取は控えたほうがいいでしょう。ビールは、ビール酵母の中にプリン体を含んでおり、飲めば尿酸値は上がります。ある実験では、一般的なビールを飲んだ3~4時間後に尿酸値が最大で30%上がったという報告もあります」。高尿酸血症に詳しい東京慈恵会医科大学名誉教授の細谷龍男さんは、そう話す。

 では、ビールを避けてそれ以外のお酒や「プリン体ゼロ」のお酒を選び、プリン体を多く含むおつまみを避ければ尿酸値上昇の心配はないかというと、そういうわけではないという。

 「お酒に関して言えば、ビールだけを控えても意味がありません。なぜなら、アルコールそのものが尿酸を上げる要因になるからです」(細谷さん)。これはどういうことなのだろうか。

 細谷さんによると、アルコールには、体のエネルギー源として使われるATP(アデノシン3リン酸)を分解し、尿酸の産生を促進する作用がある。また、アルコールが肝臓で分解される際に生成される乳酸は、腎臓からの尿酸の排出を低下させてしまう。さらにアルコールには抗利尿ホルモンを抑制する作用があり、お酒を飲むと脱水も進む。尿酸の7~8割は尿から排出されるが、脱水によって尿量が少なくなるため、尿酸の排出が低下し、体内の尿酸値が高くなってしまうのだ。

 実際、アルコールの摂取量が多いほど、痛風の発症リスクが高まるという研究結果も出ている(図3)。これを見ると、アルコール摂取量が30~49.9gで、痛風のリスクは約2倍に高まっている。日本酒なら1合、ビールならロング缶1本で、純アルコールで20g程度になる。つまり、日本酒を2合飲めば、痛風リスクは2倍になるという計算になる。

図3 アルコール摂取量が増えるほど痛風発症リスクは増える
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版』(日本痛風・核酸代謝学会 ガイドライン改訂委員会)より

 尿酸値が高い人がビールを控えたり、プリン体ゼロのアルコール飲料を選ぶのは間違った選択ではないが、それ以前に、お酒そのものの摂取量を減らさなければならないのだ。宴席では、このことをよく覚えておこう。

Point

尿酸値を上げないためには、プリン体を多く含む食べ物を控えるだけでなく、酒量そのものを抑えることが大事。

食後高血糖を抑える飲み方の鉄則は?



 次に取り上げるのは、「血糖値」だ。近年の糖質制限ブームなどもあり、血液検査の項目の中でも特に注目度が高まっているものといえば血糖値だろう。血糖値が高い状態が続けば糖尿病と診断され、放っておくと慢性腎臓病糖尿病網膜症、糖尿病神経障害などの恐ろしい合併症を引き起こす。さらに、動脈硬化を進め、脳卒中、心筋梗塞などの原因にもなる。

 最近では、食後に血糖値が急上昇する(=血糖値スパイク)、いわゆる「食後高血糖」の怖さも知られるようになってきた。糖尿病専門医で北里大学北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟さんによると、血糖値の異常は、まず食後血糖値に表れるという。「糖尿病の診断基準を満たしていなくても、食後高血糖があるだけで、心筋梗塞などの死亡リスクが高くなることが明らかになっています」(山田さん)。さらに食後高血糖は、老化の原因の1つ「糖化」を進めるとも言われている。

 では、血糖値とお酒との関係はどうなっているのだろうか

 山田さんによると、かつては「お酒を飲むと血糖値が上がる」「糖尿病患者はアルコールは避けるべき」というのが糖尿病専門医の間でも常識だったという。今は、その正反対、つまり「アルコールは血糖値の上昇を抑える方向に働くという興味深い研究報告が出ています」と山田さんは話す(図4)。

図4 糖質とお酒を同時にとると、血糖値の上昇が抑えられた
食パンで作ったサンドイッチとともにそれぞれの飲料を飲んだ。パンと白ワインの組み合わせが、最も血糖値上昇を抑制した。(Am J Clin Nutr. 2007;85(6):1545-51.)
* AUC(血糖上昇曲線下面積、単位はmmol/L・min)は時間経過にともなう血糖値増加量の面積のことで、血糖値上昇を比較するための指標。

 「これらの実験結果には説明がつかない部分もいくつかありますが、少なくとも、パンなどの糖質が多い食品とアルコールを一緒に飲むと、食べ物単体で食べるよりも血糖値の上昇が抑制されました。つまり、食事と一緒にお酒を飲むと血糖値の上昇は抑えられる、と言えます」と山田さんは話す。

 これは、血糖値が気になる人にとってはうれしい話だろう。では、食後高血糖を抑えるためには、どんな飲み方をするのがいいのだろうか。

 「血糖値を上げるのは糖質です。ですから、糖質面から見たお酒選びの鉄則は、『糖質の少ないお酒を選ぶ』ということになります」と山田さんは話す。

 「しかし、お酒には個人の好みがはっきりあります。極端に糖質が多いお酒は避ける(もしくは量を控える)にしても、苦手(嫌い)なお酒を選ぶことはありません。ぜひ好きなお酒を楽しんでください。ただし、食事(おつまみ)とお酒の糖質量を合計して、40g以内(1食当たり)に抑えるようにしてください。ここがポイントです」(山田さん)

 山田さんが提唱している緩やかな糖質制限「ロカボ」では、1食当たりの糖質量を20~40g以内に抑えることを推奨している(1日当たりでは間食10gも含めて70~130g以内に抑える)。1食トータルで40g以内に抑えるためには、糖質が少ないお酒を選んだほうが有利。その分、おつまみの選択できる幅が広がるというわけだ。

日本酒、ビール、紹興酒などの醸造酒は糖質が多い

 「糖質量が少ないお酒の代表は、本格焼酎、甲類焼酎、ウイスキー、ウオッカ、ジンなどの蒸留酒で、糖質ゼロ(またはほぼゼロ)です。一方、醸造酒は比較的糖質を多く含んでいます。中でも日本酒、ビール、紹興酒などは糖質を多く含んでいます」(山田さん)

図5 主なお酒に含まれる糖質量(100g当たり)
※糖質量は「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」に掲載されている炭水化物から食物繊維を除いて算出

 「醸造酒の中では、ワイン(スパークリングを含む)は糖質量が低いという特徴があります。ワインを選ぶ際には『辛口』と表示されているものを選ぶといいでしょう。スパークリングワインの場合は、『extra brut』『brut nature』などと表記があるものが安心です(いずれも極々辛口という意味)。ただしデザートワイン、貴腐ワイン、そしてアイスワインはいずれも甘口で、糖質がとても多いので、飲むなら少量に抑えましょう」(山田さん)。

 糖質の多い日本酒を飲みたい場合は、食事の糖質をうまくコントロールすることがポイントだ。「糖質が多めの日本酒でも、1合に含まれる糖質は7~9g程度です。食事の糖質をうまくコントロールすれば、十分に楽しめますよ」(山田さん)

食後高血糖を避けるおつまみのポイントは「たんぱく質」と「油」

 では、食後高血糖を抑えるためには、具体的にどんなメニューを選べばいいのだろうか。

 「食後高血糖を避けるためのポイントは、何と言っても糖質の少ないメニューを選ぶこと、そして鶏肉や豆腐などのたんぱく質を多く含む食品、オリーブオイル、ナッツ、魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸(*1)、バターや生クリームなどの良質な油をしっかりとることです。たんぱく質や油を先に摂取しておくと、血糖値の上昇が抑えられます。晩酌時にたんぱく質をしっかりとっておけば、筋肉の合成スピードも上がって、ロコモ(*2)対策にもなりますよ」(山田さん)

 居酒屋のメニューでいえば、枝豆、唐揚げ、冷ややっこ、焼鳥(塩)、刺身、カルパッチョなどがお勧めだという。「たんぱく質と良質の油は満腹になるまで食べて大丈夫です。この2つを中心にした食生活をしている人は満腹感によってエネルギー摂取をコントロールできます」(山田さん)。肉や魚、そして大豆食品をはじめとするたんぱく質や油は腹持ちも良く、しっかり食べておくと間食を必要としなくなる。

枝豆、お刺身、焼き鳥(塩)、冷奴などは、血糖値を上げにくい優秀なおつまみだ。(c)ahirao-123RF

 これらに加えて、野菜に多く含まれる食物繊維には、糖の吸収を穏やかにする効果があるため、積極的にとりたい。ただし、ポテトサラダは糖質が多いので、食べ過ぎは避けよう。かぼちゃ、さつまいも、レンコンなども、野菜の中では糖質量が多いので注意が必要だ。

 糖質を多く含むメニューは、ポテトサラダのほか、焼きそば、焼きおにぎり、パスタ、ピザなど。こうした糖質が多いおつまみを食べたい場合は、ラストにしよう。「先にたんぱく質や油を十分にとっていると、血糖値上昇が若干でも抑えられます。そして、先にたんぱく質と油でお腹を満たしておけば、炭水化物メニューの量を食べ過ぎることもありません」(山田さん)

Point

食後高血糖を避けるには、糖質の多いお酒・少ないお酒を把握した上で、酒量やおつまみの量を調節しよう。おつまみはたんぱく質や良質な油を中心に。

 なお、血糖値が気になるから、太りたくないからと、糖質量の少ない蒸留酒を単体で飲むことは避けよう。「お酒は、お酒だけで飲むのではなく、食事と一緒に楽しむものです。ウイスキーなどの強いお酒(高アルコールのお酒)を飲む人は、ワインやビールなどの醸造酒を飲む人よりも、死亡率、脳卒中、がん、外傷などのリスクが高いという研究報告もあります。お酒を単体で飲み続けて、昏睡状態など重篤な症状を誘引するアルコール性低血糖を生じた方もいます。アルコール性低血糖を防ぐためにも、おつまみを一緒にとったほうがいいのです」(山田さん)。

*1 オメガ3とは、n-3系多価不飽和脂肪酸の通称。α-リノレン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などのこと。体にいいと言われる油の一例。
*2 ロコモティブシンドロームの略。骨、関節、神経、筋肉などに障害が起こり、立つ・歩くなどの日常生活を送る上で重要な機能が低下する状態。

中性脂肪が気になる人は「脂身」より「糖質」に注意!


 最後に取り上げるのは「中性脂肪(トリグリセリド)」だ。中性脂肪は、コレステロールと並ぶ脂質の1つで、食べ物から直接体に取り込まれるほか、食事でとったエネルギーが余ると肝臓で合成され、体脂肪として蓄えられる。

 中性脂肪は、食べ物が足りないときのエネルギーの貯蔵庫、内臓の保持、体温を一定に保つなどさまざまな働きをしている。だが、血中に増えすぎると(高トリグリセリド血症)、血液がドロドロの状態になって血管が老化し、動脈硬化を加速させ、心筋梗塞、脳梗塞といった重篤な疾患を引き起こす原因になる。

 この中性脂肪、一般に飲酒によって上がるといわれている。だが、中性脂肪やコレステロール、脂肪肝関連の著書を多く手掛けてきた栗原クリニック 東京・日本橋の院長・栗原毅さんは、こう話す。「確かに、アルコールを“大量に”摂取すると中性脂肪を増やすことにつながると言われていますが、アルコール単体では中性脂肪の数値はなかなか上がらないと私は考えています」。実際、日本酒で1~2合くらいまでの飲酒(アルコール量20~40g未満)であれば、中性脂肪値は上がらないという報告も出ている。

 では、お酒を飲む人に中性脂肪が高い人が多いのはなぜだろうか。

 「答えは簡単。おつまみを食べ過ぎているんです。最初からポテトサラダを食べちゃうような人は、たいがい中性脂肪が高いですね。お酒を飲まない人でも、食べ過ぎの人は中性脂肪が高くなりがちです」(栗原さん)

 おつまみがなぜ中性脂肪を増やすのか。中性脂肪というからには、やはり脂身の多い肉や揚げ物などが問題なのだろうか。

 「中性脂肪は、糖質によって増えます。糖質はカラダの中に入るとブドウ糖となり、小腸で吸収され、血液へと送られます。すると血糖値が急上昇し、血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが多量に分泌されます。そして、血液中の糖は中性脂肪となり、肝臓や脂肪細胞に蓄積されるのです。中性脂肪を下げるには、血糖値が急上昇しないような食事にする必要があります」(栗原さん)

 つまり、前述した食後血糖値を上げないためのおつまみ選びは、中性脂肪を上げないためにも有効なのだ。栗原さんは、血液をサラサラにしたり、中性脂肪を増やさないためにも、積極的に摂取してほしい食材があると話す。具体的には、図6の食品群だ。「頭文字を取って、『オサカナスキヤネ』と覚えておきましょう」(栗原さん)

図6 積極的に摂取したい食材「オサカナスキヤネ」

 こうした食品選びに加え、栗原さんは「食べる順番やスピードも大事」だと話す。「食べるスピードはゆっくりと。早食いはドカ食い、肥満のもとです。1回の食事に15分かける『スロー食べ』を意識してください。こうした食べ方を習慣にできれば中性脂肪が上がりにくくなります」(栗原さん)。

Point

中性脂肪が増える元凶は糖質のとりすぎ。糖質の多いおつまみを避け、『オサカナスキヤネ』を積極的にとろう。

 いかがだっただろうか。飲み過ぎに気をつけ、おつまみ選びを工夫することで、尿酸値、血糖値、中性脂肪を上げずに宴会シーズンを乗り切ることは可能だ。さらに、休日や隙間時間を利用して、ジョギングなどの有酸素運動、スクワットなどの無酸素運動(筋トレ)をバランスよく行っていこう。


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