「もともと尿酸値が低い人は、プリン体を過度に気にする必要はありませんが、肥満の人、尿酸値が高い人は、食品からとるプリン体の影響を強く受けます。尿酸値が高い人はプリン体を多く含む食品の摂取は控えたほうがいいでしょう。ビールは、ビール酵母の中にプリン体を含んでおり、飲めば尿酸値は上がります。ある実験では、一般的なビールを飲んだ3~4時間後に尿酸値が最大で30%上がったという報告もあります」。高尿酸血症に詳しい東京慈恵会医科大学名誉教授の細谷龍男さんは、そう話す。
では、ビールを避けてそれ以外のお酒や「プリン体ゼロ」のお酒を選び、プリン体を多く含むおつまみを避ければ尿酸値上昇の心配はないかというと、そういうわけではないという。
「お酒に関して言えば、ビールだけを控えても意味がありません。なぜなら、アルコールそのものが尿酸を上げる要因になるからです」(細谷さん)。これはどういうことなのだろうか。
細谷さんによると、アルコールには、体のエネルギー源として使われるATP(アデノシン3リン酸)を分解し、尿酸の産生を促進する作用がある。また、アルコールが肝臓で分解される際に生成される乳酸は、腎臓からの尿酸の排出を低下させてしまう。さらにアルコールには抗利尿ホルモンを抑制する作用があり、お酒を飲むと脱水も進む。尿酸の7~8割は尿から排出されるが、脱水によって尿量が少なくなるため、尿酸の排出が低下し、体内の尿酸値が高くなってしまうのだ。
実際、アルコールの摂取量が多いほど、痛風の発症リスクが高まるという研究結果も出ている(図3)。これを見ると、アルコール摂取量が30~49.9gで、痛風のリスクは約2倍に高まっている。日本酒なら1合、ビールならロング缶1本で、純アルコールで20g程度になる。つまり、日本酒を2合飲めば、痛風リスクは2倍になるという計算になる。

尿酸値が高い人がビールを控えたり、プリン体ゼロのアルコール飲料を選ぶのは間違った選択ではないが、それ以前に、お酒そのものの摂取量を減らさなければならないのだ。宴席では、このことをよく覚えておこう。
尿酸値を上げないためには、プリン体を多く含む食べ物を控えるだけでなく、酒量そのものを抑えることが大事。
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