加齢により胃の機能が衰えると、さまざまな不調が起きる。ピロリ菌の除菌が進んで胃がんや胃潰瘍が減ってきた今、胃の病気の主役は、胃もたれや胃痛の症状を招く「機能性ディスペプシア」と、胸やけやげっぷが起きる「逆流性食道炎」の2つに移行しつつある。なぜ機能性ディスペプシアと逆流性食道炎は起きるのか、どのような治療が必要なのか、セルフケアで改善・予防できるのか。このテーマ別特集では、胃の不調の原因と、それを解消するための対策を一挙紹介していく。
テーマ別特集 「『胃の不調』の原因と対策」
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Index 2
Index 3
Index 4
「胃の病気といえば、胃がん、胃潰瘍」ではなくなりつつある

中高年になると、胃もたれや胃痛、胸やけ、食欲不振などの不調が増えてくる。年を重ねるにつれて、胃を動かす働きは低下せざるを得ないため、加齢によって起こり得る胃の病気もある。
「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓や膵臓(すいぞう)とは異なり、比較的、胃の症状は自覚しやすい。胃は、異変が起こればSOSを発信することの多い臓器だ。だが、私たちは1日3回、食事のたびに胃の世話になっていながら、よほどの異常でもない限り、胃について考えることもいたわる機会も少ない。
胃の病気の代表といえば、かつては胃がん、胃潰瘍だったが、ヘリコバクター・ピロリ(以下、ピロリ菌)の除菌が進み、ピロリ菌に感染していない世代も増える中、胃の病気の主役は「機能性ディスペプシア」と「逆流性食道炎」の2つに移りつつある。
なぜ胃がもたれたり、痛んだり、胸やけを起こしたりするのか。今回のテーマ別特集では、加齢によって増える胃もたれや胸やけなどの症状の原因と対処法を解説していく。