秋も深まり、屋外での運動が気持ちいい季節となった。手軽にできる屋外運動といえばウォーキングやジョギングがあり、こうした「有酸素運動」には、「コロナ太り」の解消や、生活習慣病の予防、免疫力アップなどが期待できる。ただし、漫然と歩くだけでは運動効果は低いし、かといって本格的なジョギングは運動初心者にはハードルが高いように見える。そこで運動効果の上がる歩き方と、初心者でもできる走り方のコツを紹介する。秋の青空の下、元気に体を動かそう。
テーマ別特集 「ウォーキング」「ジョギング」 健康効果を得るコツ
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「コロナ禍における運動不足で、体重が増えたので脂肪を落としたい」「健康診断で血圧や血糖値が高いと言われた」「高齢になって歩けなくならないよう、足腰を鍛えたい」――。こんなことから「運動をしなければ」と思っている人は少なくないだろう。
では、例えばコロナ太り解消のためには、具体的にどんな運動をすればいいのだろうか。
運動には大きく分けて有酸素運動とレジスタンス運動がある。有酸素運動は、文字通り酸素を取り込みながら、脂肪の燃焼を促す運動のこと。ウォーキングやジョギング、サイクリングなどが代表だ。一方で、レジスタンス運動は、筋肉に負荷をかけて行う「筋トレ」と呼ばれる運動で、筋肉を太くする効果が期待できる。スクワットやダンベルが代表。一般的に、ダイエットには体脂肪を燃やす有酸素運動の方が、効率がいいとされる。
有酸素運動はほかにも、血圧や血糖値、中性脂肪値、尿酸値などを下げるのに効果があるといわれる。また、体の隅々を走る毛細血管が劣化すると、血流が減り、栄養分や酸素が末端まで届きにくくなる。これを「ゴースト血管」と呼ぶが、有酸素運動は毛細血管をしなやかに保ってゴースト化を防ぐのにも欠かせない(「これだけでOK! 血管のゴースト化を防ぐ2つの運動とは」)
また9月の特集記事「免疫をうまく働かせ、病原体を撃退しやすくする方法」でもお伝えした通り、ウォーキングなどの適度な有酸素運動は、血流やリンパの流れを良くし、免疫力を強めるのにも有効だ。
ただし、とにかく歩けばそれで運動効果が得られる、というわけではない。近年、様々な研究から、買い物や散歩と同じようなペースでのんびり歩くだけでは、心肺機能への負荷や筋肉への刺激が十分でなく、健康効果は得られにくいことが分かってきた。健康のための運動には、ある程度の運動強度が必要なのだ。
「運動強度」を上げるには「広めの歩幅」が大事
「ウォーキングは、やり方によっては想像するほど活動量が増えず、思ったほどの効果が得られません」。フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんもこう言って、運動強度の必要性を強調する。
「私は趣味でランニングをしますが、その最中にウォーキングをしている人にも多く出会います。そのたびに『ああ、アドバイスしたい!』という衝動にかられることがあるんです(笑)。なぜかというと、ほとんどの人の歩き方が、運動強度が低いのです。特に中高年の場合、猫背気味で下を向きながら、小股でちょこちょこ歩いている人が目立ちます。数人の仲間とおしゃべりをしながら、買い物や散歩の時と変わらない速度で歩いている人もよく見かけます。そうした歩き方だと、残念ながら、何年やっても、運動という意味での効果はほとんど期待できません」(中野さん)