失明を招くほど深刻ではないものの、日常生活に不便をもたらしたり、疲れや肩こりなどの体の不調を引き起こす、悩ましい目の症状。今回は、そうした「ちょっと困った目の症状」の代表例である「老眼」「飛蚊症」「ドライアイ」への対処法をまとめていく。
テーマ別特集 悩ましい「老眼」「飛蚊症」「ドライアイ」への対処法
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Index 2
Index 3
人生100年時代、仕事や趣味を楽しみながら元気に年齢を重ねていくために、「目がきちんと見えること」は欠かせない条件の1つだ。目の不調の原因には、適切な治療を受けずにいると失明の原因となり得る緑内障や白内障、加齢黄斑変性のような病気がある一方で、そこまで重大ではないものの、日常生活に不便をもたらしたり、疲れや肩こりなどを引き起こすものもある。
この記事では、そうした「ちょっと困った目の症状」である「老眼」「飛蚊症」「ドライアイ」の原因や対処法について、日経Goodayの過去の人気記事からコンパクトにまとめてお届けする。
老眼対策は多種多様、自分にとって最適な方法を探そう
「買い物のときに商品の文字が読めなくなった」、「運転のときにカーナビの表示がよく見えなくなった」…。40代から50代にかけて始まる「老眼」は、目の調節機能が衰えて、ピントが合う範囲が狭くなっていく老化現象だ。手元など近い距離のものからだんだんぼやけて見えにくくなり、日常生活に大きな影響を与える。だが、不自由を感じながらも、自分に合った対処法を見つけられず、我慢している人も多いのではないだろうか。
見えないものを無理やり見ようとすると、頭痛や肩こりの原因となる。また、老眼による「見えにくさ」が原因でストレスを感じたり、外出や趣味を控えるなど、活動性の低下につながることも少なくない。近くがよく見えないと、目から脳に入ってくる情報量が減るため、認知機能も低下していく。そうした“人生における損失”を避けるために、老眼の正しい対処法を知っておくことは大切だ。
老眼を矯正して「見えやすさ」を取り戻す方法には、主に眼鏡(老眼鏡)、コンタクトレンズ、手術(レーシックや眼内レンズ挿入術)の3つがある。また、レンズにも、遠近両用レンズなどさまざまな種類がある。いずれも、若いころの状態に戻るほどの完璧な方法ではなく、それぞれ長所・短所があるため、「自分のライフスタイルや性格に合わせて優先順位を見定め、“自分にとって最適な方法を探す”というスタンスが重要です」と二本松眼科病院(東京都江戸川区)の眼科専門医・平松類氏は話す。
老眼鏡の主流は、遠くも近くも見える遠近両用レンズ
老眼対策としてもっとも一般的なのは、眼鏡(老眼鏡)の利用だ。一口に老眼鏡といっても、使われているレンズにはいくつかの種類がある。一番シンプルで安価なのが、ピントを合わせる距離が1つしかない「単焦点レンズ」と呼ばれるもの。手元のものにピントが合うように焦点距離が設定さているため、手元ははっきり見えるが、遠くのものを見るには、老眼鏡を外したり、近視の眼鏡にかけ替えたりする必要がある。
これに対し、1枚のレンズでピントの合う距離を段階的に変えてあるのが「遠近両用レンズ」だ。遠近両用レンズの代表は「二焦点レンズ」と「累進レンズ」。「二焦点レンズ」は、ピントを合わせる距離が2つあるレンズで、1枚のレンズの中に「窓のように囲まれた部分があるタイプ」や、「上下に分かれたタイプ」などがあり、いずれも境界がはっきりしている。歪みは感じにくいが、二つの焦点距離の間の中間距離は見にくい。
一方、「累進レンズ」は、上の方は遠く、下の方は近くにピントが合うようになっていて、境目はなく徐々に焦点距離が変化する。遠くを見る時はレンズの上を、中間距離を見る時はレンズの中央を、手元を見る時はレンズの下を通して見ることによって、あらゆる距離のものを1つのレンズで見ることができる。境界がないため、見た目にも老眼鏡と気づかれにくい。だが、多少の歪みを感じやすいというデメリットがある(表1)。
メリット | デメリット | ||
単焦点レンズ |
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遠近両用 | 二焦点 レンズ |
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累進 レンズ |
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