首や肩の筋肉が緊張して張りやこわばりが出現する、肩こり。マッサージを受ければ一時的にすっきりするものの、すぐに再発してしまう人が多いはずだ。肩こりの原因の大半は、生活習慣。すなわち、不自然な姿勢で過ごすことや、たとえ良い姿勢であっても長時間続けてしまうことが、首や背中の筋肉を緊張させ、筋疲労を引き起こす。この記事では、肩こりに関する記事の中から重要ポイントをピックアップして、肩こりの解消方法をコンパクトに紹介していく。
テーマ別特集「肩こり」
Index 1
Index 2
Index 3

肩こりは、腰痛と並んで日本の国民病と呼ばれる。厚生労働省が実施している「国民生活基礎調査」では、病気やけがなどによる自覚症状のうち、男性では腰痛が1位で肩こりが2位、女性では肩こりが1位で腰痛が2位にランクインしている。
整形外科医でカイロプラクターの竹谷内康修(たけやち・やすのぶ)氏(竹谷内医院院長)によると、「こり」というのは、筋肉が緊張して、硬さやこわばりが持続している状態のこと。「一般的に、首から肩にかけて、さらに肩甲骨付近を含めた広い範囲がこる症状を、肩こりと呼びます。『首こり』という言い方をされることもありますが、『肩こり』と『首こり』は根本的には同じものです」(竹谷内氏)。
「肩や首のこりが進むと、痛みを感じるようになることからも分かるように、『こり』は『痛み』の一種であり、『痛み』の弱い段階であると考えられます。一般に、背骨と呼ばれる脊椎のうち、首の部分にある7個の椎骨を頸椎と呼びますが、ここに症状が現れる病気を広い意味で『頸椎症』といいます。肩こりは、この頸椎症の最初の症状として現れるものなのです。首の痛みが出てくると、本格的な頸椎症です」(竹谷内氏)。
頸椎症の痛みを放置すると、やがて腕や手のしびれや痛みが起こり(頸椎症性神経根症)、日常生活に支障をきたすようになる。さらに重症化すると、手術をしなければならないこともあるという。
そうした事態に陥る前に、肩こりの原因を取り除き、首から肩にかけての筋肉の緊張をこまめにほぐす習慣をつけておきたい。
今回の「テーマ別特集」では、悩ましい肩こりの原因や対処法のポイントを、関連記事からピックアップしてお届けする。
(※関連記事の一覧は最終ページに紹介しているので、より詳しく知りたい人はそちらもご覧ください)。
肩こりの元凶は悪い姿勢、「30分ルール」で悪循環を解消!
そもそもなぜ、首から肩にかけての筋肉の緊張は生じるのだろうか。
竹谷内氏は、「特に重要な2つの要素は、姿勢とストレスです」と話す。「人間は、体の一番上に、約5kgの重さを持つ『頭』を乗せています。ボウリングの球と同じような重さのものが上に乗っているのですから、それを支える筋肉に大きな負担がかかります。それでも、まっすぐな『良い姿勢』でいれば、その重さが真下にかかるため、負担はそれほどではないのですが、前かがみや顎を突き出すなどの不自然な姿勢が長く続くと、筋肉には余計な負担がかかってしまい、こりや痛みの原因になってしまうのです」。