健康寿命を延ばすためには、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動だけでなく、「筋トレ」も重要であることが最近改めて認識されている。東京大学大学院教授で“筋肉博士”こと石井直方さんは、「寝たきりにならないためには、40~50代のうちから筋肉量を増やす意識で運動することが大切」という。そこで本特集では、石井さんに聞いた、筋トレの効果と、具体的な下半身筋トレの方法を一挙に紹介する。
テーマ別特集「ロコモ予防の下半身筋トレ」
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最近、「健康寿命」という言葉をよく聞く。これは人が要支援・要介護の状態になることなく、自立して生きていける期間と考えてよい。
健康寿命を延ばすためには、「運動」が重要であることがよく知られている。特に、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動が健康にいいと思っている人は多いだろう。ただ、実は有酸素運動だけでは不十分であり、「筋トレ」も重要であることが最近になって改めて認識されている。
そこで今回の「テーマ別特集」では、いつまでも自分の足で歩き、寝たきりを防ぐための筋トレ法などを関連記事からピックアップして紹介していこう。
寝たきり、認知症の予防に筋トレが重要である理由
厚生労働省の2010年のデータでは、日本人の平均寿命は男性が79.55歳、女性が86.30歳だ。しかし、生活に支障なく暮らせる健康寿命は男性が70.42歳、女性が73.62歳。その差は男性9.13年、女性12.68年になる。
たとえ長生きできたとしても、要支援・要介護の状態で過ごす期間はなるべく短くしたいと誰もが思うもの。いつまでもはつらつとした生活を送るためには、どうすればいいのだろうか?
日経Goodayの人気連載「筋肉まるわかり大事典」でおなじみの東京大学大学院教授で“筋肉博士”こと石井直方さんは、「支援や介護が必要な状態にならないためには、40~50代のうちから筋肉量を増やす意識で運動することが大切。筋トレで要介護になる原因の7割を予防できる可能性があるのです」という。
「要介護になってしまう原因を分析すると、一番割合が高いのが認知症です。次が脳卒中で、3番目が高齢による衰弱です。そして4番目が骨折・転倒、5番目が関節疾患になります。つまり3番目の一部から5番目までを合わせた、筋肉や関節、骨といった『運動器の機能低下』がなんと全体の約30%になるのです」(石井さん)
そして石井さんによると、要介護の原因の1番目である「認知症」と2番目である「脳卒中」も、筋トレで予防できる可能性があり、すべてを合わせると7割近くで筋肉を増やすことが対策になるのだという。
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