健康診断でもおなじみの項目である「中性脂肪」。血液中の中性脂肪が150mg/dLを超えると、脂質異常症の1つ、「高中性脂肪血症(高トリグリセライド血症)」と見なされる。血管の老化を防ぎ、心筋梗塞や脳梗塞を遠ざけるためにも、中性脂肪が上がるのを避けなければならない。そこで、今回はやっかいな中性脂肪の正体や、食事や運動でできる鉄板の対策法を一挙紹介していく。
血管の老化(動脈硬化)を防ぎ、心筋梗塞や脳梗塞を遠ざけるために、チェックしたい健康診断の指標といえば、血圧、血糖値、そして「脂質」。その脂質の2大要素が、「コレステロール」と、本テーマ別特集でフォーカスする「中性脂肪」だ。

中性脂肪は健康診断でもおなじみの項目。健康診断の結果を見て、「また中性脂肪が引っかかった」とぼやく人は少なくないだろう。血液中の中性脂肪が150mg/dLを超えると、脂質異常症の1つ、「高中性脂肪血症(高トリグリセライド血症)」と見なされる。
脂質異常症はサイレントキラーと呼ばれる通り、異常値になっても症状はない。痛くもかゆくもないからと放置しておくと、動脈硬化が進み、心筋梗塞などを起こしやすくなる。さらに、中性脂肪値が非常に高くなると急性膵炎のリスクも高まるという。
本テーマ別特集では、過去の好評記事を基に、やっかいな中性脂肪の正体や、食事や運動でできる鉄板の対策法を紹介していく。
中性脂肪は大切なエネルギー源だが、たまると悪さを働く
中性脂肪というと、いかにも体に悪い厄介者というイメージがあるが、人が生きていくうえで欠かせない物質でもある。中性脂肪の一部は、全身を覆うように広がる「皮下脂肪」や、臓器を取り巻く「内臓脂肪」として蓄えられている。中性脂肪の存在自体が、体温をキープする「断熱材」であり、また、内臓を衝撃から守る「緩衝材」でもあるのだ。
特に大きな役割は、体を動かすのに必要なエネルギーをためておく「貯蔵庫」としての機能だ。中性脂肪がエネルギーを蓄積しているおかげで、われわれは少々食事を抜いてもすぐに命を落とすことはない。貯蔵庫のエネルギーを少しずつ切り崩せば、しばらくは生きていくことができる。
脂質対策のプロフェッショナルで帝京大学名誉教授の寺本民生さんは、「人にとって中性脂肪は不可欠です。でも、合成と代謝のバランスが崩れ、過剰になるとさまざまな問題をもたらします。その1つが、動脈硬化を進める方向に作用することです」と解説する。